まだ連絡船が本州との主な交通手段だった頃、故郷を後にする時、そして故郷に久しぶりに帰ってきた時、宇高連絡船の座席を確保するや否や階段を駆け上り、上部甲板の「うどんコーナー」に並んで、うどんを甲板で立ったまま食べた味が忘れられないと、今も「讃岐人」の心に鮮明に残っているうどんが「連絡船うどん」なのです。 人生の節目に食べた「懐かしいうどん」だったのかも知れません。
そしてもうひとつ、高松駅前に人気のうどん店がありました。 それが当店「あなぶき家」のルーツである「夫婦(めおと)うどん」でした。 早朝から深夜まで大きな荷物を持った人たちが旅立ち前に、また、帰省して讃岐に帰って最初に、この「夫婦うどん」の暖簾をくぐったのでした。
その後、連絡船などが廃止されたり、また高松駅前周辺開発などでそのお店は無くなってしまいましたが 「夫婦うどん」の経営者の家族が「津田の松原サービスエリア」のうどん店「あなぶき家」開店を契機に、かつての懐かしい「駅前うどん」の味を復活させたという次第です。 本州と四国との交通手段が船から車に大きく移り、「連絡船うどん「駅前うどん」から「津田の松原サービスエリア」の「あなぶき家」が役目を引き継いで、讃岐人にとっての「心のうどん」になりつつあります。